以前は金があってもなくても生きていくことはできた。寒いなら寒くないように、暑ければ暑くないように、腹が減ったら腹が減らないように、なんでも手当てしてくれた。でも、首領様が死んで将軍様になってからは食糧も配給してくれない。
今や「金がないやつは死ななければならない」というように民衆の頭の中が変わってしまったから、「一銭でも頑張って稼いで食って行くしかない」という考えに目覚めてしまった。「昔は社会主義だったが、今は公布はしていないけれど、資本主義、半資本主義も同然だ」という考えですよ。
シム:韓国の報道では「拝金主義」と言っているらしいですね。
クァク:ジャンマダンで商売して生活が少しづつ良くなると、民衆は中間幹部の言うことを聞かなくなるんですよ。「あいつらが私にコメをくれなくても、私は金があるから自分で市場に行って買って食べれば生きていけるさ」っていう具合です。幹部の言うことを皆が聞かなくなった、そこに、ジャンマダンを開けないようにした原因があると思うんですよ。
困った中間幹部の連中が、真実を捻じ曲げて提議書を将軍様に上げるので、上の方のお方は下々の人民がどんな暮らしているのか知りもしないのに、提議書にただサインするだけでおしまいだ。こうしてジャンマダンの統制が厳しくなったんじゃないかな。
(つづく)
注1 芸術やスポーツを含め広範囲な分野で、特別に功績のある者には「共和国英雄」「努力英雄」「人民」「功勲」などの称号が国家から与えられ、勲章の他、様々な恩恵が与えられる。