シム:つまり、改革開放ができないのなら代わりに〈統一〉だ、それなら改革開放したのと同じ結果が得られる、そういうことですね?
クァク:そうことですよ。結局は、「改革開放できないなら〈統一〉だ」という考えは「韓国と一緒になれば改革開放と同じだ」ということです。だから、上の連中が改革開放に反対するなら、民衆たちは韓国側になびいていくかもしれません。
チョン:もう戦争できないのはみんな分かっているんだよ。「戦争は不可避だ」と、上は人民に言い続けてきた。
だが幹部連中は、自分たち同士じゃどう言っていると思う? 「韓国は生活水準が高い。みな建設を済ませてしまっているのに、どうしてわれわれと戦争なんかするだろうか」ってな具合だ。つまり、もはや朝鮮が銃をぶっ放す戦争なんて、ありえないということだよ。
シム:とすれば、先軍政治をやっている連中は困って騒ぐんじゃないですか?
チョン:人民はしきりに〈統一〉しようという。一方、中間幹部は、口では「統一しよう」と言うてるが、実際は〈統一〉を望んでないということなんだ。自分たちは腹いっぱい食っていい暮らしをしているから。
シム:戦争ではない方法で〈統一〉するというのは、平和的に交渉や交流をやって統一するということですかね?
クァク:もうすでに、少しずつ進んでいるという人もいますよ。私たちの間でもそんな話が出ますよ。
「韓国は徐々に入ってきてわれわれを食べ始めている」とか「金剛山(クムガンサン)は取られたし、開城(ケソン)工業団地にも経済的に今どんどん入ってきている」とかね。
チョン:今度は白頭山(ペクトゥサン)を差し出したんだって?
クァク:韓国のテレビで見たのだが黄海南道の甕津(オンジン)だったかの海も差し出すという話です。韓国と合意したということです(編集部注「韓国のテレビを見た」の意味は不明。「合意」とは、海上の韓国側の北方限界線に関する南北間の話し合いのことを言っていると思われる)。それでわれわれには何か利益があるんだろうか?
チョン:だけど、そうやってなんでもかんでも差し出せば〈統一〉できるじゃないか。
シム:それを望んでますか?
クァク:望みますよ、民衆は!
シム:息子が代を継いで後継者になるのはどうですか?
チョン:今、息子のうちの一人が後継者になったという発表はないけれど、中央党組織部の責任指導員として入っているそうだね。まだ三〇歳前のようだ。おそらく、後継者として打ち出そうということなんだろうな。
クァク:それは本当に不幸な後継者ですね。(政府に対する)人民の支持なんかない状態なのに。
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