【保守系紙エッテラーアト(8月9日付)の第一面トップ記事は、「コーラン朗誦国際コンテストでの最高指導者の談話『イスラム共同体を救う唯一の道は、コーランを頼ることである』」。左は女子ボート代表が旗手を務めたイラン人選手団の行進】(テヘランで/撮影:大村一朗)
イランからオリンピックを観る(1) (08/08/10)
8月8日は仕事があり、私はオリンピックの開会式をテレビで見ることができなかった。周囲のイラン人の話では、とても良かった、きれいだった、と評判が良い。
イランでも国営テレビで2時間ほど放送されたというが、完全な生放送ではなかったという。好ましくない女性の映像などをカットするため、数秒遅らせて放映しているという話だ。
そのため、途中何度も突然映像が途切れては、代わりにどうということのないおじさんの観客が現れたという。テヘランでは違法ながら衛星受信機を持つ家庭は珍しくなく、海外の衛星チャンネルで完全な生放送を楽しんだ人も多かったことだろう。
翌日、手に入れた新聞のスポーツ欄を開くと、オリンピック特集に大きく紙面が割かれていた。そこには、前日行なわれた開会式の様子から、今期オリンピックでのイラン人選手のメダル獲得予想まで、結構詳しく書かれていた。
それによれば、今期オリンピックのイラン人選手団は55名で、14種目に出場し、メダルが期待されるのは、テコンドー、レスリング、柔道、陸上だという。
とりわけ柔道については期待が高く、各重量級別の代表選手の経歴と、今回そのライバルとなる選手について、詳しく書かれている。
そのほか、イラン人選手の各出場種目に関するエピソードも書かれていて興味深い。自転車に出場するメンバー全員の、ドイツで購入した交換用ホイールがまだ届いていないとか、イラン人競泳選手が予選でイスラエルの選手と同じ組に当たってしまったなど、競技の結果より、事の成り行きが気になる話ばかりである。
イランはイスラエルを国家として認めていないため、スポーツの国際大会でイラン人選手がイスラエルの選手と当たった場合、対戦せず、棄権する。
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