【ソウル市内の「讃岐うどん」店の看板。10年前にはなかった日本語の看板もいまでは普通に街角で見かけるようになった】(FILE/撮影:安海龍)
韓国では、昨年初めごろから、「日流」の風が吹き始めている。
日本での韓流ブームは一部のドラマやスターの爆発的人気に負うところが多く、突風のように吹き荒れた後、ひとまずおさまった。
ところが、韓国の「日流」は、いつの間にか吹き始めたそよ風が、気がついて見ると、ひとつの文化ジャンルを形成しているかのような大きな風になっている。
日本ドラマにハマった人々を指す「イルド族」=イルボンドラマ族、日本のファッションスタイルを現す「ニッポンフィーリング」という新造語ができるほど、若者を中心に「日流」は生活の一部になりつつあるのである。
日本文化に接する機会が少なかった年長の世代は、日本文化=植民地文化と認識するのが一般的だったが、若い世代の日本文化に対するとらえ方は異なる。J-POPや日本の漫画が大好きだという23歳の女子大学生、金允恵(キム・ユンヘ)さんは言う。
「植民地時代に何があったのかは学校で習って、よく知っています。しかし、歴史と文化は別です。日本のドラマや漫画はたまらないほど面白いです」
彼女のように、日本文化と過去の歴史をドライに区別しているのが新世代の特徴で、それは次のような数値によく表れている。
韓国出版年鑑によると、日本の本の翻訳出版点数は、97年には143冊だったのが、06年には580冊に急増した上、ベストセラー小説は、村上春樹をはじめ、日本の小説が独占している。映画も韓国で封切りされる日本映画はどんどん増えて、04年に29編だったのが、07年には81編に上った。今では、ソウルの中心街の明洞(ミョンドン)に、日本映画専門館までできているのだ。
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