大規模デモ後のビルマ(下)

※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ  ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署  名を「宇田有三」に統一します。
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【マンダレーからディペインに向かう。目的地の近くで道を聞いていたら、軍の公安関係者が5分で飛んできた。後ろに立つのは通報者の村人】
昨年起こったデモの特色は、ビルマ国軍と武装警官による僧侶に対しての過剰すぎる暴力的な対応であった。
さらにその様子が、デモ参加者の撮影した映像がインターネットによって世界中に配信された。

数千人の犠牲者を出した1988年の民主化デモ、70人近い死者をだした2003年のディペイン事件がうやむやのまま闇に葬り去られたのとは、決定的に異なる。
これは、もちろん肯定的に評価できる。

だが国内のビルマ人は、そう楽観視をしていられない。
CNN・BBC・アルジャジーラ・チャンネルニュースアジアなどの衛星放送は、デモ当時の様子を生々しく、さらに繰り返し放映し続ける。
確かに迫力がある映像だ。

ラングーンを出国する直前の10月半ば、友人がポツリと言った。
「昨日の夜も、自分の住む地区の住人が警官に連行されたんだ。デモに参加した者を逮捕しているんだ。それも国際社会が騒がないように1人ずつ逮捕しているんだよ。私の家にも、いつ警官が来るかもしれない。そう考えると夜も怖くて安心して寝られないよ」
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