靴の家内製造 型に合わせてゴム版を裁断する工程 朔州郡の住民たちは、市場が発達していないので小土地農業と家内畜産、そして手工業で生計を立てている。その中の一つが靴の家内製造業だ。材料は軍靴工場から盗んできたものだ。
靴の家内製造 型に合わせてゴム版を裁断する工程
朔州郡の住民たちは、市場が発達していないので小土地農業と家内畜産、そして手工業で生計を立てている。その中の一つが靴の家内製造業だ。材料は軍靴工場から盗んできたものだ。

 

[解説]辺境の軍需産業都市は寂獏としていた(承前) リ・ジュン
実際に訪れて見てみると、金正日の論文で強調されていた、こぢんまりして上品な地方産業は影が薄く、第二経済委員会(注1)傘下にあり、大口径の曲射砲を生産する朔州兵器工場、毒ガス原料も生産するという青水化学工場など、大軍需産業の施設があちこちにできていた。

市場が発達することができなかったこの軍需品生産地帯では、「苦難の行軍期」に住民たちが軍需工場設備をクズ鉄にして中国に密輸することで、やっと生きながらえてきたと言う。

だが、これに対する取り締まりが厳しくなり、今では皆、小土地(山を勝手に開墾した《隠し畑》)に頼って暮らしていた。そのため、海抜五〇〇メートルに達するこの地帯の山々は、木が切られてしまい完全に丸裸になっていた。
朔州には軍需工場が多いと述べたが、大きな軍靴製造工場がある。

国から優遇を受ける軍需工場では、従業員たちに一応給料と食糧配給が与えられているのだが、それだけではとても生活は成り立たないため、工場から工具、布、ゴム、接着剤を盗み出して、家で靴を製造して市場に横流しをしていた。
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