十年前までなら幹部というだけで甘い汁を吸って暮らしていけたわけだが、近頃はかなりの大物でもない限りそうはいかない。平壌に住んでいても金がなければにっちもさっちもいかないのである。今や朝鮮も金が全てなのだ。金を稼ぐ以外に生きる道はない。

昔のような配給で暮らせるわけでもないし、何でもかんでも金だというのに、国家は給料をくれない。稼ぎは全て自分の能力次第だ。だから「管理所」から出所できた人間は、シャバでも苦しい目に遭う。
しかし、どんな状況であっても、自分さえしっかりしていれば、再起できる可能性はあると思う。
(つづく)

注1 社労青 社会主義労働青年同盟の略。労働党傘下の社会団体で、現在は金日成主義労働青年同盟に名称が変わった。
注2
移住民 「管理所」では強制収容されてきた人々を「移住民」と分類・呼称する。「囚人」や「罪人」とは呼ばない。
解除 「管理所」の収容者である「移住民」から、一般社会に戻ること、また戻された人を「解除」と分類・呼称する。

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