揺れるカシミール 廣瀬和司の緊急現場報告~殴られるカメラマン (2008/09/20)

【現実を伝えようと鎮圧する側、される側の両方から嫌われながらも、カメラマンたちは仕事を続ける】(撮影:広瀬和司)
【CRPFも、抵抗する人びとを撮影して特定し、後で家に押し入る】(撮影:広瀬和司)

【スリナガル発(インド側)】
9月20日、昼過ぎ、ナワタ地区でまた騒動が起きているというので、現場へ向かう。撮影を始めるとすぐに、若者の側から「おい日本人、そっちで写真なんか撮ってないで、こっち側へ来いよ」と私に声がかかる。

若者の側の地域に私の友人もいて、彼らは私を見知っているのである。それを聞いた回りの警察官やカメラマンが苦笑して「早くあっちへ行って来いよ!」と囃し立てる。外国人ということもあって私には敵意が無いのかもしれない。

けれど、地元の警察官が殴られているのを見ているので、警察側から興奮状態にある彼らのところに行くのは少し気が引け、手を振るだけに留めておいた。
3時が過ぎたころ、カシミール警察だけでなく、中央予備警察隊CRPFが増援でやってきた。(CRPFとは軍隊と警察の間の準軍隊で兵士はインド人) そして、地元のカメラマンたちが、「帰るぞ」と言って引き上げ始めた。

遅く来て、まだ撮影してないカメラマンまで帰るという。私には判らなかったが、 中央予備警察隊CRPFの雰囲気がただならず、このまま撮影していたら自分たちも殴られるだろう、ということだった。昨日、将校が負傷しているのが影響しているのだろう。
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