国家保衛部第14号管理所
◆完全に閉鎖された統制区域
北倉郡鳳昌里にあった「第18号管理所」から大同江(デドンガン)を挟んだ北側に、身の毛もよだつほど恐ろしい場所として通っている国家保衛部所属「第14号管理所」が今でも陣取っている。
この場所は鳳昌里の一部であるが、後ろは山に遮られ、川のほうにだけ開かれている、ちょっと変わった地形である。北倉郡と价川(ケチョン)市、徳川(トクチョン)郡の三つの地域が接しているこの山奥の谷に、何の罪もないのに世間から隔絶された「移住民」たちが数え切れないほど収容されている。
川の方から見ると「14号管理所」は、平壌市にあるような立派な建物が立ち並んでいて、整った街のように見える。
しかし、金昌奉(キム・チャンボン)も収容されていたというこの「14号」は、朝鮮国内の「管理所」の中でも最も厳しい「管理所」だと言われている。その深い、深い地獄のような場所から解放されるには、何と四回も「解除」されなければならないのだという。
「14号管理所」に収容された「移住民」は、まず公民証はもちろんのこと、公民権までも無条件に剥奪されるという。
家族で送られてきても男は男だけ、女は女だけ、子供は子供だけというふうに、全員がばらばらにさせられるといい、ナチスの収容所以上に残忍なところだと噂されている。「管理所」の中で、もしすれ違う一団の中に、自分の母親や妻や娘を見つけて話しかけでもしようものなら、容赦なく殴打されるのだそうだ。
このように家族がバラバラにされた「14号管理所」の「移住民」たちは、まるで動物の群れのように扱われるが、その周囲には実弾を込めた自動小銃の引き金に指をかけた兵士たちが、四六時中厳重に監視しているという。
「移住民」のうちの誰かが承認を得ず小用を足したり、言うことを聞かないようなことがあれば、その場で射殺せよという命令が出ているのだそうだ。裁判も何もあったもんじゃない。監視兵はいつでも収容者たちを射殺できる権限を持っているというのだ。
そんな「移住民」たちは、「ヤギの群れ」と呼ばれているという。
私のいた「18号管理所」でも「無報酬」や「教養所」でしか見られないような殺伐とした光景である。
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