リャン:平城市で所得が年間三〇〇〇ドルある人っているのかな?
男性1:俺はそんな人に会ったことないな。そんなにいないんじゃないの。年三〇〇〇ってことは月に二五〇縲恷O〇〇ドル稼ぐってことだろ? そんなのはほんの一握りだよ。大幹部とか、ごく少数の大金持ちとか。
リャン:五%もいなんじゃないか?
男性1:平城で金回りがいいって言われる家で、物価が上がる前のことだが、家族三人でひと月の収入が二〇縲恣ワ万ウォン(約六五縲恃ェ五ドル)だったって言うね。毎食じゃなくても、肉や魚も結構食べてたらしい。そういうレベルの人は市内で三五縲恷l〇%ぐらいいるんじゃないかな。
リャン:三〇〇〇ドルという数字は、なかなかたいしたもんだな。
男性1:だけど、一般の人たちは、やれ方針だ、国家的措置だ、配給だと言ったって、もう誰も信じないよ。実現したものもないしな(北の指導者のことばの信憑性がこの程度だから、南の大統領のことばも信じられないの意)。
リャン:まったくだ。
男性1:騙され続けて来たからな。年寄り連中の話では、南浦(ナンポ)閘門(注1)を造って干拓地さえ完成すれば白い飯に豚肉食って暮らせるって言ってたってんだからな。俺が子供の頃も、順川(スンチョン)ビナロン(工場)が完成すれば良くなる、沙里院(サリウォン)のカリ肥料(工場)ができたら良くなるって言われてさ(注2)。今じゃ順川ビナロンの生産設備なんてバラバラにされて、みんな盗まれて空っぽだからな。南浦閘門から干拓地か何かが出てきたわけでもなかったし。
※李新政権は対北支援を打ち切ったわけではない。金正日政権が南新政府に支援要請をしていないだけだ。米国と経済封鎖をするという政策も存在しない。つまり、李新政権に対する悪い「風評」が、発足から間もないのに飛び交っているのだと思われる。朝鮮ではよくあることだ。
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