1 朝鮮国内の穀物の供給と消費構成、及びその割合
一九九六年に初めてジャンマダン(市場)にコメがおおっぴらに並べられるようになってから一二年になる。
今では、朝鮮では四種類の食糧供給源が並存することとなった。すなわち国家糧政(配給制度)、機関供給(勤めている企業や組織からもらえる分)、ジャンマダン(市場)、個人耕作地(注2)(これは地域により小土地、火田、畑などと呼ばれている)である(以下、配給、供給、ジャンマダン、個人耕作地とする)。

分類上は以上のようになるが、実際にはそれぞれが複雑に入り組んでいる部分もある。
食糧を手に入れる具体的な方法を理解していただくために、私の知るある軍人一家を例に挙げて見てみよう。
世帯主は○○郡所在の「五・一四」部隊(注3)の現役将校であり、主婦の妻はジャンマダンで衣類を売っている。二人の子供のうち娘は医大の学生で、息子は外貨調達会社のトラック運転手をしている。
この家族の場合、世帯主と娘は配給を受けているが、夫人はジャンマダンで稼ぎ、息子は職場で機関供給を受けている。そして家族の中で夫人の収入が一番多い。

別の例を見てみよう。ある軍需工場の一般従業員(四人家族)は、二〇〇〇坪の個人耕作地を持っており、ジャンマダンで盗品の販売をしているが、「配給供給ジャンマダン個人耕作地からの収入」の比率は、およそ「3:2:3:2」だという。
一般的に、個人耕作では大きな金は得られないが、比較的収入が安定している。
ジャンマダンで商売をすれば大金を稼ぐチャンスはあるが、朝鮮の金で五〇〇万ウォン(約一七万円)以上の元手がなければ商売は安定しないと言われている。
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