しかし、FAOのデータは朝鮮政府の提出した収穫高の報告に基づいており、貯蔵されていると推定される穀物の内の一〇万トン以上が消費項目(五)のような理由による貯蔵であるとするならば、この一〇万トン以上の貯蔵穀物の存在は、国際援助を受けるに当たって大きな問題となるだろう。
(つづく)
注1 朝鮮の民間で家計評価によく使われる物差しが、白米一キロの市場価格/労働者の平均一ヶ月賃金の対比だ。
二〇〇八年七月現在、北朝鮮で労働者の名目上の月給は一ヶ月一五〇〇縲恷O〇〇〇ウォンだ。実勢レートで一〇〇円は約三〇〇〇ウォン。
注2 住民全般に対し実施されていた国家配給が、量的不足や途絶をきたすと、さまざまな形態の別の食糧供給源を発生させた。その一つが穀物の自作だ。
朝鮮全土で、元来耕作地でない山の斜面などを非合法に焼き畑などをして開墾する行為が横行している。数ヘクタールもの面積を擁する個人農地も生まれた。山林荒廃の原因になっている。
注3 軍糧米の徴発機関。内閣にある糧政機関(食糧に関する政策機関)と同様、各郡、区域の末端にまであり、国産・輸入穀物の確保において他に相対的な優先権を有する。
注4 住民が家で豚や犬(食用)を飼うこと。一世帯当たり年間三頭の豚を育てて市場で売れば、小土地で農業をするよりも効率よい収入になる。
注5 国家が定めた配給基準でも四人家族(一日当たりの配給量七〇〇グラムが二人、三〇〇グラムが二人で換算)の、一ヶ月の配給量は六〇キロである。ただしこの基準でいう供給穀物は必ずしも、トウモロコシとは限らない。
◆08年食糧危機の実態と背景を探る 5(リュウ・ギョンウォン
◆08年食糧危機の実態と背景を探る 4(リュウ・ギョンウォン
◆08年食糧危機の実態と背景を探る 3(リュウ・ギョンウォン
◆08年食糧危機の実態と背景を探る 2(リュウ・ギョンウォン
おすすめ<北朝鮮> 写真特集・無料動画…