せっかちな娘は一気にまくし立てた。
「母さん、アカシアの種も、ひまわりの種も持って行かないといけないの。あっちこっちに出さなきゃいけないの。ウサギの毛皮とクズ鉄も前は少年団だけに出せばよかったんだけど、今度からは学校も......。それから何だっけ? ああ、国防委員会にも持っていかなきゃいけないの」(注4)
私は腹が立ってきた。
「え? 国防委員会? 何なの、それ?」
先生は説明した。
「国防委員会っていうのは、武器を作る所ですよ。これまでも毎月やってましたよね?」
「毎月してた、あれ? あれって国防委員会のだったの?」
「ええ、あれが国防委員会の分ですよ。それから、先月から新しく始まったのは、火力発電所で何か作るっていう、将軍様の方針とかいう電力生産で、それから青年同盟が......」
私は思わず先生の言葉を遮った。
「でも、うちの子は少年団じゃないの?」
「そうですね。でも、青年同盟も少年団も似たようなもんですよ。少年団の方では......、ああ、ほんとに頭が痛い! ひまわりの種の次はアカシアの種。それから最近また、ええと......」
先生は自分でもそれ以上並べ立てるのが恥ずかしくなったのか、それとも種類が多すぎて本当に忘れてしまったのか、言葉を濁らせた。「ウサギの毛皮!」娘が先生に向かって自分の友達にするように耳打ちした。
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