指折り数えていた先生が、手を額に当てた。そんな先生を見ていると、余計に腹が立ってくる。
子供の前で教師の威厳を損なわせるのはどうかとも思ったが、だからといって黙ってはいられなかった。
「古紙ってどういうこと? 学校は本もろくにくれないくせに、古紙を出せってのはどういうことなのさ?」
「ですから、何かの教科書を印刷するんですよ。」
「あらま、じゃあ教科書(注1)はちゃんとくれるってことね?」
「それは、どうだか......。でも1年生は......、うーん、分かりません。だけどそれを出さないと、その、教科書も何ももらえないんです」
上部からは抑えられ、親からは突き上げられて、先生も気の毒ではあるが、だからと言って親が際限なく要求に応えるわけにもいかないのである。
「一度、計算してみなって! ひと月に一人の子供に一万ウォン以上かかるんだよ。一人一万ウォン以上! まったく」
まったくとんでもない話だ。労働者の月給が二千ウォン、多くて三千ウォンなのに、それすらもらえるかどうかも分からないというのに、中学生一人に要求される税外負担(注2)額は、ひと月に一万ウォン以上に上るのだ。
月給の三倍から五倍。子供が二人、三人いる家はどうなるのか? これは強奪以外の何ものでもない。子供に大人の三縲恁ワ倍の労働をさせるのと同じではないか?
今度は先生が反撃に出た。
「私たち教員もですね、何か徴収するという指示が出れば抗議しますよ。
それに、最近はクズ鉄も値上がりして、一キロ一〇〇ウォンするだの何だの言うもんだから、『ほら、結局、金を出せってことじゃないか』って言ってるんです。私たちだって、言いたいことはたくさんありますよ。
親御さんにも言いたいことがたくさんおありのように、私たちだってあるんです、あまりにも持ってこいっていうのが多いもんだから」
私は訊ねた。
「それって、どこかで買うの?」
「買う?」
「だから、クズ鉄はどこかで買うわけ?」
「......分かりません。うちのクラスの子たちはどうしてるのか......。私はこれまでクズ鉄を買ったりしてませんけど。私はクラスの課題だけこなしてましたから。でも、他のクラスの子たちは買ったのかしら?」
先生は、私のそばでじっとしているヒョクに訊いた。
ヒョクは黙っている。
「ヒョク君、お金を出したって、みんな言ってた?」
先生はもう一度訊ねた。
「五〇ウォンずつ出すって言ってました」
「一キロが五〇ウォン?」
「はい」
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