校長先生のこの一言で、次の月からは先生たちも必死でやって何とかしたんです。でも今月は......」
「先生たちが何とかするってのは、結局保護者から集めたんでしょ?」
「いいえ、クズ鉄ですよ、クズ鉄で処理したんです。

先生たちがお金を出したんじゃなくて、校長先生は校長先生で罰金を払って。校長先生が『罰金は各自、党組織や司法機関に行って払いなさい』とか言われるもんだから、われわれ教師もねえ。熱心な先生たちは『ちょっときつく言ってでもクズ鉄を集めないと』と必死ですよ。
私も、あまりに徴収物が多いので、それをちゃんとやろうと思ったら、そんな、担任のことなんか考えてられないんですよ」
「それでクズ鉄を集めきれなかったらどうなるの? 計画的にやってるの?」

「ええ、計画的にやっていますよ。できなきゃ校長先生が処罰を受けますから。営倉に入れられますから。」
「なんで営倉に入れられなきゃならないの?」
「国防委員会からの軍事命令ですから。罰金がどんっとかかってくるんですよ。
うちのクラスはクズ鉄をちゃんと集めるからいいですけど、他のクラスの先生たちはクズ鉄を集められないと給料カットです。雀の涙ぐらいの給料がカットですよ。

それに最近は、何かって言うと『罰金!』です。だから、罰金を払うよりは高くても買ったほうがいいんですよ。罰金となったら、給料一ヶ月分どころか、その何倍にもなりますからね、それじゃ困りますもの。『やれやれ、どうせ出すんなら一〇〇ウォン払ってなんとかするほうがましだ』ということになるんですよ。」
こんな話は初めて聞いた。少年団が「子供計画」(注2)を始めたのは戦後(注3)間もなくだったというが、「子供計画」が達成できなかったといって、営倉だの罰金だのという話は、先軍時代になるまで聞いたことがなかった。

「それで私、こないだの保護者総会の時も言ったんです。
『徴収文書が多いですけど、正直いって、私は徴収員ではないんですから、もうちょっと皆さんが自覚して早く出していただきたいんです。生徒たちに、なんで出さないの、取ってきなさい、なんて言ってる間に、ひとつでもたくさん勉強を教えたいんです』
私はそういう立場でお願いしているので、うちのクラスの子供たちはクズ鉄課題なんかも、それなりにちゃんとやってくれてるんです」
「......」

「本当にねえ、教員の仕事なんてねえ、こんなことがなければどんなにいいかしら」
「先生の言うとおり、学校で勉強だけ教えてくれれば、親たちだって進んで協力するんだろうけどねえ......。先生たちにも敬意なんかをもっと持つだろうし、こんなふうに文句を言わなくても済むのに」
「本当に。保護者も進んで協力してくれるんでしょうに」
「......」
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