中学生以下は市場で働いてはならないことになっているが、貧しい家庭で子供を学校に行かせず親の商売を手伝わせることは珍しくない。(2003年秋 清津市 パク・リョル撮影)
中学生以下は市場で働いてはならないことになっているが、貧しい家庭で子供を学校に行かせず親の商売を手伝わせることは珍しくない。(2003年秋 清津市 パク・リョル撮影)

 

私の言葉にうなずく先生の口からは、愚痴が次々に飛び出した。
「長期欠席生が出るのもそれなんですよ。うちのクラスも最近は休む子がいます。
これまでは、子供たちが持ってこなかったら『じゃあ、明日持って来なさい』『あさって持って来なさい』とか言ってるうちにうやむやになっていたんですけど、あんまりひどいものだから、この前なんかは、『すぐに取りに行ってきなさい! 先生がこんなに一生懸命教えてあげてるのに、自分の目の前の課題もできないの!』って言ってしまったんです......。

うちのクラスは、ええ、ほとんどちゃんと出しますよ。ただ、何人か性質(たち)の悪い子や、勉強のできない子もちょっと......。
性質たちの悪いのは出しませんから。『まったく、あんたたちみたいな子は先生が教えてあげる値打ちもないわ。先生が一生懸命教えてあげてるのに、先生を手伝ってくれないどころか、自分の課題もできないの? さあ、早く行きなさい、今すぐ全部そろえて持って来なさい!』って言ったら、一人の子はそれっきり出てこなくなったんですよ(注1)。

まったく......。それで私も、学校に来ないんなら来なくたっていいわ、どうせ自分が損するだけなんだから、って言ってやりました」
「自分が損するだけって、どういうこと? 特別に大学に行けるとか、何か発展性があるわけじゃないような子は、いっそのこと学校に通わない方がましじゃない。そしたら何も持っていかなくていいんだし」
腹立ちまぎれに言いたい放題言って勢いづいている私に対抗しようと、先生もヒートアップしてきた。

「いえ、私たち教員もですね、『火力発電所のクズ鉄』と『少年団のクズ鉄』を合わせて一〇キロ集めたんですよ。指導員が、『先月までは五キロずつだったが、今回は少年団の分を合わせて一〇キロ集めよう!』って言うものだから、うちのクラスも手持ちの分を全部出したんです。
そしたら、次の月もまたやれって言うんですよ! 一一月になったら『またすることになった』って言うんです。

それでうちの分団指導員が声を上げたんです。『これはどこかへ訴えられないものか? どうして二重に指示するんだ? そんなことしたら子供たちはどうなるんだ? これはどこかに訴えないといけない。なんて融通の利かない政策なんだ? 将軍様の方針に従ってやっているっていうけど、これではあんまりじゃないか?』
そう言って私たち全教職員が集まって四〇分ぐらい指導員に抗議したんです。いろんなことを言って。
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