外国からの賓客歓迎行事に動員されるのは本当に苦痛だと、多くの脱北者が言う。写真は1995年5月、アントニオ猪木氏のプロレス興行で訪問した日本人客のための夜会に動員された平壌の人々。(石丸次郎撮影)
外国からの賓客歓迎行事に動員されるのは本当に苦痛だと、多くの脱北者が言う。写真は1995年5月、アントニオ猪木氏のプロレス興行で訪問した日本人客のための夜会に動員された平壌の人々。(石丸次郎撮影)

 

二〇〇八年二月下旬、米国のニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団が、初めて平壌を訪れコンサートを催したことは、まだ読者の皆さんの記憶に新しいのではないだろうか。
リムジンガン編集部のリム・グノは、貿易のため中国を訪れた平壌居住者のBさんと会いニューヨーク・フィルの平壌公演に対する平壌市民の反応を取材した。

歓迎準備でへとへとになりました
リム:米国の何とかフィルハーモニーが公演に行ったでしょ?
B:ええ、今日から公演のはずです。

リム:平壌では何だか凄い準備をしてるらしいですが、一般の住民の反応はどうですか?
B:いや参りましたよ。平壌に来るからって、一ヶ月前から毎日掃除ばっかりさせられて。

リム:あれは、東平壌の何とか劇場でやるって言ってましたね。
B:そこを綺麗に塗装しなおして、それから拭き掃除も一日に二回ずつして。

リム:この寒いなかをですか?
B:そうです。ブラシで道路も綺麗に拭くんです、みんなで!

リム:何もわざわざ、こんなに寒いときに行かなくてもいいのに。
B:毎日掃除に行って水で道を洗うんです。水もまともに出るんならいいけれど、アパートの水が出ないもんだから、大同江(デドンガン)の水を毎日汲んでしましたよ。アハハハ。

リム:まったく、米国人のせいでえらい目にあいましたね。
B:そう、奴らのせいで下々の者は大変だったんだから。われわれには何のいいこともないのに。
おまけにジャンマダン(市場)も閉じてしまったんですよ。ジャンマダンが開かないと、みんなどこで野菜を買えばいいんだって、困ってますよ。来ない方が良かったのに。

リム:米国人を歓迎するのに、なぜジャンマダンを閉じるんですか?
B:歓迎じゃなくて、米国の人たちに私たち庶民の姿が見られたら格好悪いから、恥ずかしいからなんですよ。だからジャンマダンも開けなくしたんですよ。
盧武鉉(ロ・ムヒョン)大統領が来たときもジャンマダンが閉じられてしまって、どれほど不満が高まったことか。そんなこと盧武鉉は知ってんのかね。
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