検察当局としては、慎重のうえにも慎重を期せざるを得ない。何しろ相手は、弁護士であり、前大統領なのである。下手をすると「首都」は大混乱に陥る。
民進党と陳水扁を支えてきた人たちが、どちらかというと、中南部の郷土色の濃い人たちで、決して学歴も所得もそう高いとは言えない人たちであることを思う。
民進党は黙視。陳夫婦は自ら離党はしている。しかし党は正式の処分を下してはいない。そうしたなかで、党内から公然と陳水扁支援を叫ぶ人も出てくる。民進党は、みずからの党首が招いた一大疑獄を前にただ呆然と立ち尽くしているばかりだ。
一方、中国毒ミルク事件は、ネッスル、ロッテなどの多国籍企業を渦に巻き込みながら、野放図に拡大している。
マレーシアから輸入された菓子がおかしいと摘発すると、マレーシア政府からは、原材料はすべて台湾製だと反論がきたりする。そもそもppmの意味がよくわからないマスコミ、正確な検査ができない衛生当局のもとで、業界は大混乱状態である。しかしもともと多彩な化学合成調味料を濫用している外食産業を野放しにして、メラニンだけを目の敵に追い掛け回していることに意味があるのだろうか…
「キリン一番搾り」は、台湾では高級ビールの部類に入る。庶民は日常、台湾ビールで我慢するしかない。
近くのスーパーにキリン一番搾りが超サービス価格で販売されていた。早速ケースで買った。しかし、まずい。明らかに、一番搾りではない。ニセモノでないか、不純物が入っているのではないか…、表示をよく見るとなんと「中国製」だった。みかけはまったく日本のものとかわらない。
なんだか、口にできるものが日に日に少なくなっていくのである。(この項続く)
*陳水扁は馬英九を「区長」と呼んでいる。台湾は、台湾政府の公文では、「中華民国台湾地区」と表現される。台湾共和国建国を目指さない馬英九は区長でしかないという意味である。