第二〇条 社会安全機関は、公民登録、宿泊登録、住居利用秩序を破る行為を取り締まる。

(以上、引用)
国家住宅が一人の住民に割り当てられると、人民委員会都市経営局住宅配定(割り当て)課から「国家住居利用許可証(入舎証)」が本人に発行される。
入舎証の発行は、単純な住宅の割り当てを意味するものではない。与えられた住宅の利用者としての資格があるかどうか、厳しい資格審査(出身成分〔階層〕、居住登録資格、職業、婚姻関係、家庭の革命化程度、政治組織、責罰関係や前科など)にパスしなければならない。

おまけに、住宅の絶対量が不足しているため、政府住宅機関から許可が出るまで延々と順番を待たなければならない。
許可がいつ出るのか分からないため、審査状況を調べてもらったりするが、その過程でも「金がものを言う」。
こうして住宅が割り当てられてはじめて、国家から入舎証が発行される。

割り当てられた国家住宅を交換しようとする場合は、当事者がそれぞれ該当機関に申請し、その理由が正当であるという同意と承認を得る必要がある。
単なる交換であっても、お互いに国家住宅に入居することになるため、順番待ちがないというだけで、新規と同様の手続きを踏まなければならない。
しかしである。住宅の絶対的な供給不足と、富裕層の出現による住宅需要の増加という社会構造が現実にはあるわけで、不正腐敗した権力者たちは、その隙間に発生した住宅闇市場に入り込んで金儲けをするようになった。それがまた住宅闇市場を拡大・増殖させてきたのだ。
(つづく)

注1 同前出「朝鮮民主主義人民共和国民法」より。
注2 一九九六年に最高人民会議常設会議の決定第七〇号にて採択、一九九八年に修正された「朝鮮民主主義人民共和国社会主義財産管理法」より。
注3 一九九二年に最高人民会議常設会議の決定第二二号採択、一九八九年に修正補充された「朝鮮民主主義人民共和国社会安全取締法」より。

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