しかし現実は厳しい。一昨日、さらに台湾人を幻滅させる事件がおきた。台湾を訪問中の中国の要人が民衆に囲まれて小突き回されたのである。
突発的事件というならまだしも、台湾独立を標榜する民進党の台南市会議員が支持者を動員して仕掛けたもの。彼は「我々は台湾独立のために闘っているのだ。中国は敵だ」と謝罪を拒否、党中央を困惑させている。
クニを独立させるというのは、歴史的に見ても命がけの事業である。その先頭に立つ議員が政治生命をかけてやった大事が、中国下級官僚をどつくことだったというのは、いかにも情けない。
同じ日、国会では与野党女性議員が格闘し、民進党内では陳水扁の支援をめぐって幹部がテレビカメラの前でつかみ合いの喧嘩。「海角」でもみて、ノスタルジーにひたっているより仕方ないのかもしれない。
今日、10月25日は民進党が反馬英九反中のデモを計画している。困ったことに、呼んでもいないのに被告・陳水扁も参加するという。さらに困ったことに、民進党本部より陳水扁個人のほうが資金力、すなわち動員力があるらしいこと。再生民進党の威信をかけた一大イベントが「陳水扁がんばれ」のデモにすり替わってしまいかねない。
この間に、陳政権下の内政部長(内務大臣)が新たに逮捕された。公共建設に絡み、陳総統夫人への三億円の賄賂を仲介したというもの。建設会社社長は事実を認め、釈放された。陳一家の蓄財のかなりの部分が贈収賄によるものであること、また長男の婚儀に際して高額のお祝儀が振り込まれていたらしいことが明らかになりつつある。
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