内部記者が撮った! 北朝鮮最新事情 6
写真 チャン・ジョンギル  解説 石丸次郎

◆運ぶ 下(撮影日:2008年8月から10月初旬 場所:平壌市郊外江東郡)
北朝鮮内部で撮影された写真を10年見てきた。北朝鮮にももちろん様々変化があるのだが、庶民生活において、はっきりと目についた変化は、中国製品が大量に入るようになって服装がこざっぱりしたこと。そして自転車がとても増えたことだ。

前回述べたとおり、北朝鮮の交通網はもともとが未発達のところに経済不振で麻痺状態になって久しい。10年前までは、一日に20~30キロを歩いて移動することは当たり前だったという。逆にいえば、それだけ楽に移動できる手段が強く求められていたということだ。

そこに現れたのが日本の中古自転車である。90年代に入って日本の大衆自転車の値段は大幅に下がった。メーカーがおもに中国で組み立て生産するようになったからだ。1万円以下の廉価な自転車の増加は、一方で放置して撤去される自転車の数を激増させた。大量の放置自転車が二束三文で業者に引き取られ、海を渡って北朝鮮の庶民の足となって行ったのである。

北朝鮮の人たちにとって移動の必要性とは、ほとんど商売----生きていくためのものだ。今回の「運ぶ」は、チャン・ジョンギルがそのような場面を切り取った写真を集めた。

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急げ市場へ! 都市住民が農村に出向いて米やトウモロコシを仕入れ、市場に持ち込んで売る。食糧は毎日消費されるし保管も効くので手堅い商売だという。

農村で仕入れた穀物を市場に持って行く途中、保安員(警察)の取り締まりに遭遇した二人。女性が自転車に乗ることは禁じられている。罰金だ。90年代に金正日総書記が女性が自転車に乗るのは見た目に悪いと言ったからだとか。その後うやむやになっていたのだが、最近またうるさくなったという。
農村で仕入れた穀物を市場に持って行く途中、保安員(警察)の取り締まりに遭遇した二人。女性が自転車に乗ることは禁じられている。罰金だ。90年代に金正日総書記が女性が自転車に乗るのは見た目に悪いと言ったからだとか。その後うやむやになっていたのだが、最近またうるさくなったという。

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