彼らが闇の住宅市場を形成し、個人住宅や国家住宅がほしい者は、彼らに頼って「有料で」住宅を手に入れるのである。
仲介ブローカーの親分には、住宅課や保安署、裁判所などに強力なコネを持つ者がなる。平壌市の中心区域などでは、このよう仲介ブローカーが一〇組ほど暗躍している。いわば陰の不動産業者集団である。
彼らの販売収益、各種の賄賂、陰の手数料(「テコ」の手数料と呼ばれている)は、すべて購入者の財布から出たものである。
このような闇の住宅市場には実に幅広い権力層が関与しているため、取り締まるに取り締まれず、現在まで成長の一途を辿ってきた。
住宅政策は必ずや改革されなければならない
国家の経済成長は、住宅・建設部門の成長と直接関係すると言われる。
旧態依然とした住宅供給構造に固執する朝鮮の権力者たちは、結果的に闇の住宅市場を増長させ、衣食の問題と共に人民の住宅問題まで悪化させた張本人であるということが、読者の皆さんにも少しはお分かりいただけただろう。
権力者の便宜のみを追い求め、住民に不便を強いる国家住宅割り当て政策は、必ずや改革されなければならない、経済発展を阻害し、貧富の差を助長するこのような構造的矛盾を取り除かねばならないというのが、筆者の主張である。
(おわり)
注1 金正日が参加する「一号行事」用の道路を「一号道路」と言う。一号道路は、まるで政治行事のための舞台のようだ。朝鮮を訪れる外国人は、極めて特別な場合を除き一号道路を外れることができない。しかし平壌市民を含めた朝鮮民衆の実際の生活は、舞台のような「一号道路」では営まれない。彼らの生活は「裏道」にこそある。
注2 日本語の「てこ(梃子)」からきた言葉が使われている。
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