大統領の重大犯罪にもかわらず実に早い捜査「終了」とみえよう。実は今回起訴された部分は、まだ氷山の一角に過ぎない。海外にあるという隠し財産を含めてまだ未解明のままである。それゆえ主犯の釈放に納得いかない人も多い。

長男夫婦はマネーロンダリングの罪のみで、これは七年程度の量刑になるらしい。しかし彼らはまだ若い、七年「留学」して出獄すれば数十億の財産を枕に安穏な生活を送れるのではとやっかむ人もいる。

結局一家四人だけが重罰に処せられ、他の11人の被告は刑を減免される見通し。我らがシンデレラ陳幸も訴追を免れた。彼女が政治から一歩も二歩も距離を置いていたおかげである。しかし亭主が誘惑の沼に溺れた。両親兄弟のみならず、ご亭主も入獄にすれば、彼女は独り俗世に取り越される。苦難の前途はやみそうにない。

陳水扁一家を引っくくって獄に送った場合、どうしても「不公平」という同情がおきるのを避けがたい。なぜなら首長が公費を食べてしまうというのは、台湾ではフツーのことだからである。今日の新聞のなかには、同じ疑惑が取り沙汰され続けている李登輝もまな板に載るのではないかと報じる記事もある。不公平感を封じる意味も、独立派を抹殺するという計算もあろう。
とにかく騒ぎは一段楽した。

この間の注目度ナンバーワンが、特捜のスポークスマンを兼ねる陳雲南主任検察官である。なにしろ我々は毎日、彼の発表に耳と目をそばだててきたのだ。農耕用の牛のような寡黙さと朴訥振りが受けて、いまや台湾のみならず中華圏全体のアイドルになっているという。
彼を捜査の前面に押し立てた政府のしたたかさには舌を巻く。ちなみに彼は新竹の客家人。
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・月曜日12/15より、台湾と中国との間に毎日直航便が飛ぶ。例えば台北と上海は82分。高雄に行くより近いのである。また海運も直航が可能となる。郵便も直接往来できるようになり、両岸の距離は限りなく縮まったといえる。
・パンダが三十人以上の来賓とともにまもなく来台する。トワントワンは団団、ユエンユエンは円円と書く。あわせて団円。すなわち家族団欒を意味する。両岸の平和的統一を暗示したものだという。

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