アメリカをはじめとする西側諸国から長年にわたり経済制裁を受け、グローバル経済の蚊帳の外に置かれてきたイランが、西側経済の失敗に小躍りして喜ぶのは無理もない。イランの指導者たちはさらに、こう言い放った。
「イスラム法に則り、公正と社会正義を旨とするイラン経済は、西側の自由資本主義経済とは一線を画すものであり、世界の金融危機の影響はイランにはない」

同じイスラム教国でも、自由資本主義経済に組み込まれたエジプトやトルコといった近隣諸国では、かなり早い時期に外国人投資家の投げ売りにより株価が暴落していた。では、まだ外国人投資家の参加が非常に少ないイランの株式市場には、いったいどのような形で世界金融危機の影響が現れたのだろう。私の問いに、テヘラン証券取引所のフロア責任者サハラーヒー氏は次のように答えた。

「金融危機とは別に、世界で原油と鉱物資源の価格が下がり始めたのが原因だ。例えば、少し前、銅は1トン7000ドルだったが、今では3000ドル以下に下がり、原油も7月には1バレルあたり147ドルを超えていたのが、今では40ドルを割る勢いだ。テヘラン証券取引所に上場する主な大企業は石油化学や鉱物資源を扱ったり輸出したりする政府系企業だが、こうした企業の利益は最近激減し、株価は下がっている。投資家たちはこうした状況から不安を感じ、それが全体としての株価の下落につながっている」。

イランでは企業も投資家も、石油や鉱物の国際価格の変動を見て、景気の先行きを判断する。なぜなら、イランの国家収入は石油と鉱物資源の輸出に極端に依存しており、国内のどのような業種であれ、最終的にはこの二つの価格変動の影響を受けざるを得ないからだ。
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