何よりも、大きな違いを感じたのは、村で会った人たちである。紛争中、タバン村はリーダーを含めて、全国からマオイストが集まる“聖地”のような村で、武器を抱えたマオイストや外からきた党員が村のなかを闊歩していたものだが、今、村で見る顔は、私服の警官、カトマンズからきたNGOワーカー、タライからきた学校教師などの新しい顔ぶれ。マオイストの聖地がこれほど急激に変わるものなのかと、これには、正直言って驚いた。
ロルパでは、現在、車が通れる道路の建設が急速に進んでいる。これまで、ロルパの入り口であるダン郡ゴラヒからロルパの郡庁所在地リバンまでは、ピュータンを通って8時間から9時間(リザーブしたジープでかかる時間。
ローカル・バスだともっとかかる)かかっていたのだが、ピュータンを通らずに、直接ロルパに入る車道が“ほぼ”完成し、ジープを使えば(バスはまだ通っていない)、ゴラヒからリバンまで約5時間半で行けるようになった。今回、たまたま、タライの道路がチャッカジャムで封鎖されていたため、初めてこの道路を使ってリバンまで行ったのだが、こんなに近いのかと驚いた。
一方、かつての“マオイストによる支配”から自由になって、ロルパでの治安は明らかに悪化している。以前のブログでも、東ロルパに出現した武装グループについて書いたが、このところ、ロルパとその周辺の郡では、武器を使った犯罪が頻発している。
私がロルパに入ったのと時を同じくして、ピュータン郡で、ロルパとピュータンの2人のCDO(郡行政長官)が乗った車が、夜間、武装集団に襲われるという事件があった。犯人の何人かはすぐに捕まったものの、こうした事件は今後も起こる可能性がある。
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