ファッション、社会への不満そして希望 4
〈インタビュー2〉リ・オギョンさん 一八歳 2
ズボンが切り裂かれる
A:とにかく、朝鮮では服ひとつ自由に着られないんです。
ズボンにしたって若い子は流行りに敏感だから、みんなピッタリしたストレートのスボンをはきたがるんですけど、あんまりピッタリしたのは取締りが厳しいから、普通のストレートをはいてるのに、それでも取締りに遭うんです。夏なのにスカートじゃなくてズボンをはいてるって。刃物で切り刻むこともあるんですよ。
私も以前、取締りに遭って、ズボンを切るっていうので、『昔は、日本の奴らが朝鮮の女性にチマ・チョゴリを着るなと言って、切り裂いたというけれど、今は、同じ朝鮮人がズボンを切り裂くのか』って言ってやったんですよ。そうでしょ。ズボンに何の罪があるんですか。
細いズボンを履いた者は祖国への裏切り者だって言うんですか。朝鮮中探し回って、こんなズボンはいてない女がいたら連れてきてみろっていうのよ。まったく、おしゃれのひとつもできないんだから。
Q:取締りの人間が直接そういうことするの?
A:いいえ。自分たちでは直接せずに、大学生を使うんです。
でも、女子大生の方が男よりももっと酷いことするんですよ。自分たちだって冬になればズボンぐらいはくくせに。スカートだ、スカートをはけと、うっとうしい。朝鮮の革命は自分たちだけですると言わんばかりに。まったく気に入らない。
偉そうなこと言ったって、所詮は学生じゃないですか。半人前のくせに。同じ女性にそこまで酷いことされれば、やられる方も黙っちゃいませんよ。
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