我が国の経済動向 15
なぜ「経済指導」を反省する必要があるのか?
リュウ・ギョンウォン:中国では、以前のように階級闘争を国家の中心課題とするのではなく、経済建設を優先課題とすることで、経済に関する研究の自由が建国以来初めて保障された。その結果、現代中国は世界的な発展を遂げることができたと思うのだが、もし朝鮮でも国家や党がそういった研究や議論の自由を認めるならば、あなたは何から始めるべきだと思うか。
ケ・ミョンビン:議論・研究すべき中心的な課題は「経済指導」に関する問題だと考える。ここで言う「経済指導」という概念を、「経済運営に対する政治権力の介入」という意味で話してみたい。
大切なのは「どのような指導が経済に必要なのか、また不必要なのか」について、党員や幹部、経済人たちが自分の考えや意見を自由に出せるようにならなければならないということだ。
まずやるべきは、国家による配給の停止、前代未聞の飢餓、人民生活の破壊状況を総合的に反省し評価すること。
そしてこのような悲惨な結果を導いた(これまでの)「経済指導」とはどんなものであったのか、どんな役割を果たしてきたのか、国と人民のために貢献したのか、それとも既得権に固執する少数集団のためだけに機能したのか、といったことも総合的に反省・評価すべき時が来たと考える。
こういった作業が何よりも重要な理由は、第一にわれわれの社会が、今、改革開放をやりとげ、国を建て直すことができるかどうかの瀬戸際に立たされているからだ。
和解と協力、交流と共生を標榜する国際社会との協調を一日も早く成し遂げるか、あるいは開放をだらだらと先延ばしにするのかという岐路である。今は国家と民族の存亡がかかっている重要な時期なのだ。
第二の理由は、人口構成からして、(考え方や価値観が)質的に異なる朝鮮戦争前世代と戦後世代が完全に交代する時期に入ったからだ。
戦前世代の保守的傾向と戦後世代の進歩的傾向は極端に対立している。戦前世代を中心とする保守層は、自分の目の黒いうちは決して譲歩しないなどと言い張っているが、彼らは確実に衰退しつつある。何の備えもなく、様々な分野で、ある日突然世代交代が起これば、社会的に大混乱を引き起こしてしまうだろう。
「党の唯一思想体系確立のための一〇大原則」の中で不滅の存在とされていた金日成主席が死亡した時、われわれの社会が受けた衝撃はあまりにも大きかった。故人である主席を制度上「永生」させたということが、せっぱつまった状況をよく表している。つまり、(今の政府は)「金日成」という権威に依存しなければ人民を統治することができないほど保守的なのである。
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