八月終わりにトウモロコシの収穫が始まってやっと軍隊も表に出て来られるようになり、それを狙ってシャッターを切りました」
一方、同時期に撮影された市場で商売に励む庶民たちには、極端にがりがりに痩せた人は見られない。
市場には、値段は上がったものの食糧はあり、食事の質と量の低下はあっても、庶民は商売などの経済活動を通して、食糧へのアクセスをなんとか確保しているからだろう。
北朝鮮国家は軍隊維持に必要な食糧をまともに確保できていない。
協同農場からの供出分(国内生産分)、国家予算で外国から輸入する分、外国からの援助の軍隊への横流し分を合わせても、一〇〇万人以上に肥大した非生産集団(実態は半分が建設専門部隊だ)を食べさせていく力を、金正日政権は今や喪失してしまったということである。
これが、軍隊最優先を唱える北朝鮮の「先軍政治」のお寒い実態なのだ。
■食糧支援を訴えるチャン記者
石丸:今回撮ってきた写真を通して、何を一番世界に訴えたかったのですか。
チャン:私の撮った写真を見た世界の人々が、もっとも切実な問題である食糧支援をしてくれたらという考えでした。
石丸:外部から支援をしても、軍隊が持って行って、権力者が売り飛ばして、国民には直接届かないという現実がありますが。
チャン:軍隊が食べようが民衆が食べることになろうが、食糧を支援してくれれば私は感謝します。
それほど事情が苦しいんです。上の連中が横流しして売って着服しようが、食糧がたくさん入ってくれば市場の値段が下がるんですよ。たくさん入ってくるのがありがたいです。
(つづく)
おすすめ<北朝鮮> 写真特集・無料動画…