ポスト金正日に向き始めた意識
北朝鮮の人々は、特権層から苦しい生活を強いられている庶民にいたるまでが、金正日が建国記念式典に出席できなかったことをきっかけに、「金正日時代の終焉」が近づきつつあるということを、強く意識したに違いない。
中国要人との会見写真を公表したのは、そうした「動揺」を打ち消し、内外に健在を誇示する意図があったことは疑いないし、ある程度その効果はあっただろう。

しかし、金正日が健康不安を抱える七○近い老人であることに変わりはない。客観的に考えて、金正日が今後一○年以内に権力の表舞台から退場する可能性は極めて高いのである。北朝鮮内部の人たちが、ポスト金正日について考え始めるのも当然のことだと言える。
北朝鮮の民衆は、一九九四年の金日成主席の死亡から一五年もの間、国の開放と改革を今か今かと息を潜めながら待ち望んで来た。

党組織と保衛部(情報機関)の監視を怖れ、よほどのことでない限りは本音を表に出さないが、それでも北朝鮮の人々の心には、これからの変化に対する期待が膨らんでいることが、インタビューや内部記者の報告から強く感じられた。
(この稿、おわり)

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