そのような感覚はまた、人材派遣会社や業務請負会社の担当者の立場になった場合も共通するのだろうか。
人材派遣会社や業務請負会社のホームページからは、「人的資源」や「人材」というレッテルを貼られた人間が、商品であるかのように扱われているイメージが漂ってくる。
2008年1月の各種新聞記事によれば、07年8月中旬から9月中旬にかけて、人材派遣大手グッドウィルから西武グループの運送会社西武運輸に派遣された労働者たちを、西武運輸が違法に二重派遣していた。
西武運輸は1日数十人の派遣労働者を、千葉県市川市内にある物流会社の倉庫に送り込み、その物流会社の指揮・命令のもとで働かせていた。この二重派遣は職業安定法が禁じる「労働者供給」にあたり違法である。
西武運輸は派遣労働者を自社のトラックの荷台に乗せて、市川市内のJR駅から物流会社の倉庫まで運んでいた。これは道路交通法に違反している。派遣労働者はまるで物のように扱われたのである。
グッドウィルはほかにも、二重派遣や禁止業務(港湾運送)への派遣を承知のうえで、大手物流会社の佐川グローバルロジスティクスや東和リースなど3社に違法派遣をおこなっていた。
そのため、2008年1月に厚生労働省から2~4ヵ月の事業停止命令を受けた。佐川グローバルロジスティクスなど3社も事業改善命令を受けた。
人材派遣会社、派遣先の企業、二重派遣先の企業、その三者が低賃金・不安定雇用の派遣労働者を違法に使い、共に利益を得ていたわけである。しかし、これらは氷山の一角であり、違法な二重派遣や禁止業務への派遣が横行しているのが実態だったと見られている。~つづく~
(文中敬称略)
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