拡大する市場に大統制始まる 2 リュウ・ギョンウォン
二〇〇八年の経済混乱
二〇〇八年は、世界各国の経済状態が著しく悪化した。
にもかかわらず朝鮮政府は、南北関係を全面的に膠着させ、北京オリンピックに連動して中国への出国制限、及び貿易会社に対する大々的な検閲を行い、また金正日総書記の重病説流入防止のために、九月以降再び中国への出国を制限するなど、内外に立て続けに強硬策を実施した。
これによる経済的な打撃は小さくなく、二〇〇八年後半の朝鮮経済は混乱に陥った。
この年、朝鮮では穀物価格が記録的に高騰した。咸鏡北道清津(チョンジン)では、春先に一キロ当たり二三〇〇ウォン前後だった米価が、五月一〇日頃には、一気に三〇〇〇ウォン前後に迫り、五月後半には四二〇〇ウォンを記録したのだ。その後、乱高下を繰り返して、一二月末現在には二八〇〇ウォンほどになった(〇九年一月時点で一〇〇〇ウォン=二五円)。
内部記者のチャン・ジョンギルらの報告によると、平壌(ピョンヤン)市では今春、春季の農村動員「田植え戦闘」に機関や企業所から動員された人たちに供給する食糧が枯渇したため、なんと動員された人が市場で自費購入したりして、各自で用意するように命じられていたという。
また、人民軍に対しては全てを優先的に与えるはずの先軍政治であるのに、若い兵士たちに真夏でさえも一食に五~六個のジャガイモと塩しか与えられなかったとも、チャン・ジョンギルは報告している。
こうした中、二〇〇八年末には、新たな不安が全国を覆っている。
二〇〇九年一月より、市場を大々的に再編・整理するという指示が国家から下されたのだ。それらが伝わった韓国や国際社会では、早くも経済混乱を憂慮する声が出始めている。
内部記者のシム・ウィチョンが撮影してきた市場に貼られた「お知らせ」を見てみよう(この記事冒頭の写真)。
[以下引用]
次のページへ ...