農作業に精出す兵士たち。夕刻になり、収穫して天日で干していたトウモロコシを集めている。(2008年10月クァイル郡 シム・ウィチョン撮影)
農作業に精出す兵士たち。夕刻になり、収穫して天日で干していたトウモロコシを集めている。(2008年10月クァイル郡 シム・ウィチョン撮影)

 

現地報告 黄海道/平壌江東郡は今
やせ細る兵士、混乱する人民生活 4

報告:チャン・ジョンギル/シム・ウィチョン 整理・解説:石丸次郎

2 シム・ウィチョン記者の黄海道リポート(承前)

■食糧問題と兵士たち(承前)
二〇〇八年一〇月、シム記者は黄海南道のクァイル郡の農村地帯を訪れ、奇妙な光景を目にする。空軍の兵士たちがトウモロコシの収穫をしているのだ。
畑の真ん中に乗り入れたトラックには、トウモロコシがぎっしり積まれている。
シム記者は、収穫作業中の兵士に近付き話しかける。
シム:タバコの火、ちょっとかしてくれるかい?
(ライターを渡す兵士。)

シム:ところで、なんで軍隊が収穫作業なんかしてるの?
兵士:農場員たちは......、米の稲刈りに行ってるんですが、農場では今日に至るまでトウモロコシの収穫をしていなかったんで、慌てて今になって取ってるんです。
海軍の連中はあっちの方の畑で作業してます。空軍のわれわれはこっちの畑。
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