だが、政府はその後、自らこれらの取り決めを破り、「配給労働経済」への復帰のためという名目で、女性たちの市場活動に対して体系的な妨害を始めた。
二〇〇四年には、国営企業への出勤を強制するために新たに「労働鍛錬刑」(記事行くぞ部隊 1の注を参照のこと)なる司法制度を制定した。食糧配給もまともにもらえない、給料も出ないために収入が絶対的に不足している世帯主の男性らが、職場を休んで妻の市場活動を手伝うことをできないように法制度を整備したのである。

その後、二〇〇五年一〇月には、既存の配給制の変形である国家食糧専売制の導入を試みる。
また二〇〇六年からは、女性の市場活動可能年齢を四〇歳以上と規定して取締りを開始した。
これらの超強硬統制によって、二〇〇七年一〇月頃から若い女性たちが公設市場から完全に排除された。

市場から排除された四〇代未満の女性たちに対して、国家は市場活動に代わるものを何も提示していない。
国家が、せめて「労働の報酬」として規定量の食糧だけでも公正に与えていたならば、これほどまでに敵視している「民衆による市場革命」は、最初から起こらなかったかもしれない。

「職場」に縛り付けたままの男性の勤労の対価である食糧配給は、今でも依然として安定を取り戻しておらず、今日の朝鮮は、まさに「党と国家の言う通りに信じていたら、飢え死にするしかない国」となってしまっている。

先軍政治を掲げる政府が、依然として「配給労働経済」への復帰という、前近代的な経済方法にのみ固執していることも問題ではあるが、それ以上に問題なのは、無報酬の強制労働を拡大させ、全社会にそれを制度として一般化させようという意図が、その裏側にあることだ。

男性たちが、給料も配給もまともに出ない職場に行かずに市場活動をすれば「労働鍛錬刑」に処され、すぐにでも無報酬で強制的に働かせられる。無能な国家が「配給労働経済」を無理に続けていくために、強制労働をという罰則を横に置いているのが、現行制度の仕組みなのだ。
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