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【外では米軍ヘリが低空飛行で飛んでいた。武装勢力の攻撃をかわすためのフレアー弾を放ちながら飛ぶ。もうこういうのが「日常光景の一部」となってしまっている…】(撮影:玉本英子)

玉本英子 現場日誌
バグダッドで(1)
2009年3月22日

バグダッドの通訳の家に行った。5年ぶりだ。治安が悪化して以降、外国人が自由に町を出歩くことは不可能だった。
私自身が標的とされることもあるし、「外国人と関係のある家だ」と通訳やその家族、そして近所の住人までもが狙われることになりかねないからだ。武装勢力や誘拐犯だけでない。警察さえも、この国では信用できない状態だった。

住宅街にある彼の家は石造りで、芝生の庭に、1階部分は台所と風呂場、客間などの部屋が4つ。2階は寝室を中心に3部屋で建て増し中だ。日本の家に比べるとはるかに大きいが、「イラク人の家では小さいほうだよ」と通訳は笑う。

イラクにないものを2つあげよと言えば、ほとんどが「治安、電気」と言うだろう。北部アルビルでは去年の春は、1日に1時間しか電気が来なかった。今のバグダッドはかなりマシ。それでも合計して7時間ぐらい。消えたり、ついたりの繰り返しで、そのたびに発電機を回すか、あきらめる。今の季節は耐えられるが、灼熱の夏(50度)に扇風機なしでどう生きていけるのだろうか。
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