派遣先の倉庫では約30人が働き、そのうち正社員は数人だけ。あとはパート労働者が数人と、2つか3つの派遣会社からの派遣労働者が20人弱いるという。
レンタルの発送注文の多い週末前の木曜日と金曜日、そして返却の多い月曜日が忙しく、それに合わせて派遣労働者の人数が増減する。需要に応じて必要なだけ呼べる派遣労働者は、企業にとって使い勝手のいい、安い労働力として位置づけられていることがわかる。

「派遣の仕事は5年ほど続けている。主にピッキング、トラックの荷物の積み降ろし、引っ越し作業などをしてきた。以前は1日だけの仕事もしたが、基本的には3ヵ月契約で、たいてい延長もできる。いやになったらやめて、ほかを探す。やりたくない仕事、特に労災の事故が起きるような危険な仕事はしない。体が資本だから」

「現場によっては、倉庫の高い天井の蛍光灯を、フォークリフトの先に乗って取り替えてくれと言われたりする。でも自分は、危険だからと断る。2メートル以上の高所作業は派遣会社の規定でも禁止されている。派遣会社から最初に知らされた労働内容以外はできないと言う。奴隷じゃないもん。断ったら仕事が来なくなるという不安はない。登録する派遣会社を変えればいいから。いまの派遣会社は3社目になる」

「奴隷じゃないもん」と語調を強めた彼に、「職場で派遣労働者はどのように見られているのでしょうか」と、あらためて聞いてみた。
「正社員がいて、その下に契約社員、アルバイトやパート、さらにその下に派遣がいるという感じ。ヒエラルキーがある。平等ではない。それはどこの会社でもそうでしょう。

派遣はニートあがりで仕事ができないと見られているけど、実力で示せばいい。不満は言いたくない。自分で選んだ道だから」
終始身構えた感じの話し方だったが、最後は自らに言い聞かせるような口ぶりだった。語りおえると、職場へ急ぎ足で向かった。~つづく~(文中敬称略)

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