拡大する市場に大統制始まる 3 リュウ・ギョンウォン
住民の市場活動を抑えつける当局
がむしゃらに何とか生きようとしている民衆の市場活動を完全に抑えつけることなど無理なのだが、実質的な代替案も無いまま現在当局が行っている市場統制措置は、人々の生存を脅かすだけである。以下の写真と録音取材で、市場統制の実態を紹介しよう。
■録音取材1
サツマイモ売りの老女。二〇〇八年一〇月中旬、海州(ヘジュ)市にて。聞き手シム・ウィチョン。
老女は、国家による食糧運搬への取締りが無茶苦茶だと露骨に不満をぶちまけている。こんな政策は、取締りをしている権力者の不正腐敗行為に法律がお墨付きを与えるものだと、的確に指摘している。
記者:安全員(=保安員[警察])たちが年寄りに向かって「この犬のようなクソアマ!」と罵って追いかけまわしてましたね。
老女:まったくだよ。やたらと糾察隊(取締り部隊)だの何だのって立たしておくんだよ。そういうやつらだけが得するってことだ。
記者:おっしゃる通り。(糾察隊には)配給までちゃんと支給しているんですよ。農産物は自分で作ったものであれ、どこかで貰ってきたものであれ、なんでも自由に売れるようにすればいいのに。それを取り締まる人間に配給までやりながら「取り締れ」っていうだから。
老女:まったくだよ。だけど、これは一番上の人間が、間違った指示を出してるんじゃなくて、その下にいる人間が間違ったことばっかりしてるからだ。
記者:それで、また「上からの指示だ」って、言いながら自分たちのやりたい放題するんですよね。
老女:その通り。この前も拝川(ペチョン)に行ってきたんだけど、横に座ったおばあさんが言うには、拝川から列車に乗ったら、車内でやたらと厳しく持ち物検査をしてたんだってさ。
一人当たりコメ一五キロまでは、持ち歩いても大丈夫だったはずなのに、五キロだろうが、三キロだろうが、全部没収してたって。そんな馬鹿な話があるかい?
年寄りが、子供の家を訪ねるのに、せめて自分の食糧くらい持ってかないと申し訳ないじゃないか。街から行くのに手ぶらでは行けない。それをコメ五キロ持ってたんだが、没収されそうになって大変だったそうだ。
間に入ってるやつらが間違ってるからそうなるんだ。取り締るやつらだけが、得するようにやってるんだよ。
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