〈住宅売買取締り現場取材〉国家住宅の闇取引に介入して賄賂を求める政府の役人 3
お偉いさんの介入
(ドアの開く音がして、娘が入ってくる)
支配人:これがうちの娘です。
検閲員:君、○○局に勤めてるの?
支配人の娘:はい。
(支配人は幹部である書記長にたんまり賄賂を払って、娘を役所に就職させた)
検閲員:書記長の下にいるの? ビョンテクの下に? あの書記長の、君がその下で働いてるのか? でも、見かけたことがないなあ。外出が多いせいかな? 君は私を見たことがあるかね?
支配人の娘:存じませんね。
支配人:この子はずっと事務室で書類を書く仕事ばかりしてるからじゃないですか? 出かけないからな。(娘に)さあ、戻りなさい。
検閲員:ビョンテクの(電話)番号は何番かな?
支配人:××××。
検閲員:今いるかな?
支配人:(妻に)おい、かけてみてくれ。
支配人の妻:(ダイヤルして相手を呼び出し)もしもし......。(受話器を差し出しながら)はい、あなた。
支配人:(書記長と通話する)ああ、今ね、「おめでたい事」があってね......。道の人民委員会の検閲局から、うちの家を取り上げるって言って来てるんだが......。書記長がぶんどって来いって言ったのか?だって、検閲員が言うには、書記長がぶんどって来いって言ったそうだね? 表では友達のふりして、裏では陰に陽に画策してるのか......。ああ、替わるよ。
検閲員:(電話に出る)もしもし、お疲れ様。今、取締りに来て、いろいろあって電話することになってしまいましたよ。
支配人:(横で聞きながら笑う)
検閲員:(電話を続ける)この家のことでここに来たんですよ、この家のことで通報があったんだから。(検閲に)来たのはそのためですよ、何もないのに来るわけないじゃないですか。いや、少し動きがあったんですよ。
九月二〇日に将軍様の「方針」が出たでしょ? ほら住宅の。(支配人の家が「方針」違反として)提起されたから、形式上、うちが(処理)しとかないといけないんです。
罰金を取らないといけない。そうでしょう? とりあえず形だけでも罰金を課さないと。うん、うん、(違反のことは)何人かが知ってる程度。この区域のやつらが提起したんです。
支配人:(しびれを切らせた支配人、受話器の近くで、書記長に聞こえるように)やれやれ、今すぐ家を出てけって言うんだ。まったく参ったなあ。
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