拡大する市場に大統制始まる 5 リュウ・ギョンウォン
住民の市場活動を抑えつける当局(承前)
■録音取材4
海州。二〇〇九年一〇月初旬。聞き手シム・ウィチョン。
路地で食べ物商売をしたといって、取締りにあった女性たちへの取材。
彼女たちは、いわゆる「メットゥギ(バッタ)商売」(注1)をしている、お金もなく力もない労働者の妻たちである。元手がないため、新たに拡張する公設市場へも出店できないのだ。
国家によって疎外されている貧しい女性たちは、当局のこの措置に憤りをあらわにした。
記者:(ここで)どうして、商売しちゃいけないんですかね?
女性1:おかげでこっちは大変だよ。
女性2:まったくだわ。暮らしていけないわよ。
女性3:路地で売るぐらいなんだって言うの。
記者:路地では、商売は許さないんですね?
女性4:そうなのよ、コルモクジャン(路地商売)をなくそうとしてるのよ。
記者:(公設市場で)朝から商売ができれば(取締りもなくなって)、さっぱりするじゃないんですか。
女性2:(国家は)そうやってイジメないと気が済まないのよ。貧乏人はさんざん痛めつけられて死ぬのよ。
女性4:みんながこうやって不満をまくしたてるのも仕方がない、(当局が)文句が出るようにするからだよ。(公設市場で)食べ物商売をできなくするからだよ。
記者:こうして毎日取締りに来るんですか?
女性4:何とか食べてこうと商売すれば追い立てられる。
記者:まったくですね。
女性4:一日にたった二〇〇〇ウォンも稼げないのに。
記者:目をつぶってくれてもいいじゃないか。なんで目くじら立てて貧乏人を追っ払うんでしょうね。
女性4:弱い庶民がやられるのよ。
次のページへ ...
1 2