この日の主人公であるおばあさんとその家族、親戚と見られる参席者が一緒に写っている。息子夫婦と思われる男女がおばあさんにお酒を注いでいる。
お祝いのごちそうを卓の上に所狭しと並べるのが朝鮮民族の宴の習わしである。
お酒やジュース、果物、ゆで卵、きのこと豚カルビ肉の煮物、餅、お尻に唐辛子をさした蒸し鶏などが並べられている。
見たところ、この老人の一族は食べるのには困らない程度の生活をしているようだ。おそらくみながこつこつと商売をし、個人耕作地も耕しているのだろう。
北朝鮮の還暦祝いは満60歳を迎えた親へのお祝いとして、子どもが宴席を設けるもので、その日は友人や知り合いを家に招いてもてなし、楽しく過ごす。
北朝鮮は個人の祝い事ができない社会である。成人は原則として皆が職に就かねばならないので、還暦祝いも、60歳で定年退職をして職場から追い出されることを祝うのはおかしいという考えがあった。
だが一般的に親は満60歳になると、子どもたちが還暦祝いをしてくれることを望むのが普通である。
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