北朝鮮内部で活動する記者リ・ドンチョル(李東哲)は、三月末に中国に密かに越境してきて石丸次郎のインタビューに応じた。
以下は、そのうち後継者問題に関する部分を抜粋したものである。
彼の周辺でも「金正雲(キム・ジョンウン)後継」の噂が広く流れていた。
石丸:金正日総書記の後継者について、北朝鮮内部でさまざまな噂が出回っているようですね。
A:後継者が「二番目の息子に決まった」とか、昨年までは少将だったのが、中将、大将になったとか言われています。
石丸:二番目ですか? 長男は正男(ジョンナム)で二番目は正哲(ジョンチョル)だと言われていますが......。
A:その正男は朝鮮ではほとんど知られていないんですよ。
とにかく二番目がやるらしいと言い合ってます。将軍様の二番目の息子がやるらしいと。
この二番目がどこの誰なのか、幹部の中には知っている人もいますが、一般庶民はわかっていません。その母親が誰なのかもよく知られていないんです。
石丸:現在、どんな話が噂されているんですか?
A:「将軍様の後継者が出現した、もう一人の若い将軍が出現した」とか「後継者は将軍様の二番目の息子だ」とか、「大将だったか上将だったかを授けられた」という具合です。
石丸:その名前は何ですか?
A:金正雲。
石丸:具体的な名前まで噂されているんですか?
A:金正雲という名前までは皆口にしています。
石丸:人民は金正雲の顔は知っているんですか?
A:顔は知りませんよ。
一般の庶民はよくわかっていないのですが、幹部たちの口からいろいろ漏れてきます。
知り合いに軍部で働く幹部がいるのですが、彼によると将校たちの間で「後継者が出現した」という話が出回っているというんです。
まだ噂話レベルですが、幹部から一般庶民の耳にまで正雲という名前が入るようになりました。
石丸:まだ確かではないけれど、民衆の間でも金正雲に決まったと話が拡がっているわけですね。
A:そうです。軍部のそれなりの将校たちに対しては非公開通告されたといいます。
次のページへ ...