慈江道のある軍部隊では非公開で「もう一人の若い将軍が現れた。それは金正雲だ」と通告があったとか。
年齢は31か32だと言われたそうですが、私の知っている年齢とは合わないんですね、これが。31、32というのはその上の正哲ではなかったかな。
(※注:金正哲は1981年9月生まれとされる。数えで29才。ちなみに正雲は1984年1月生まれとされる。)
石丸:噂レベルとはいえ、そういった後継者についての話に対して、人々はどんな反応ですか?
A:特別な反応はまだわかりませんね。心の中ではいろいろ考えているんでしょうけれど。
でも、こんな話が出回ってました。「長男がいるのになんで二番目がやるんだろうか」って。長男の名前は皆知らないんです。
石丸: 権力の世襲はだめだという意見はないんですか?
A:そんな考えもあるでしょう。でも口には出せないんです、朝鮮では。
石丸:それでは金正日よりはましではないかと言う人は?
A:そう考えていたとしても口には出せない。でも一般民衆は金日成主席が死んで金正日が政権についてからというもの、本当にたいへんな暮らしをしてきましたから、いくらなんでも金正日よりはましだろうと考える人がいても不思議ではないですよ。でも、もっとひどくなったらどうしようという心配もあるでしょう。
石丸:リ・ドンチョルさん自身はどう思いますか?
A:今の朝鮮はまったく〈幹部の世の中〉なんですよ。何をするにも幹部に金を差し出さないと実現しない。
すべての人に働き口があって、すべての人が自分で働いた分だけ暮らしがよくなるような時代にならないと。こんな社会を実現してくれるなら、誰がなってもいいと思いますよ。
でも実際には、金正日の次の時代は、息子の誰が指導者になっても人民、民衆のための政治をするとは思えませんね。
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