軍部を抱え込んだ結果、朝鮮では一九七〇年代から始まっていた国家経済の分断が固定してしまったといえる。軍部と党、軍需産業、保安機関(警察)や保衛機関(情報機関)など、金正日擁立を支持した特権機関は、国の経済を分断して所有し、その利権の永続を目論んだのだ。
金正日に続く新しい後継者は、計画経済が消滅している現状と向き合うことになる。
そして、その原因たる経済マフィアのようになり果てた特権機関による経済分断の構図と、特権機関相互の熾烈な勢力争いの真っ只中に立たなければならない運命が待っている。
今となっては、それら特権機関が持つ経済の既得権を放棄させ、国家と人民に利徳を返還することなど、金正日にもその後継者にも不可能であるに違いない。国際社会には、国家の仮面を被った経済マフィアが支配する社会である朝鮮が徐々に変質することを待つことしか方法はないのだろうか。そうすると、人民はいつまで苦痛に耐えなければならないのだろうか。
ずたずたに分断された経済が、後継者に手渡される。その運命は、ゆらゆらと風に揺れるともし火のような、危ういものとなるしかないはずだ。
(つづく)
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