同資料は、日米安保条約に基づき在日米軍の権利や義務など法的地位を定めた日米地位協定の、第17条「米軍人・軍属・それらの家族の犯罪に対する刑事裁判権の行使」について、日米間の合意事項や運用上の留意点などを解説したものだ。
裁判権、捜査、捜索、逮捕、身柄の引き渡し、取り調べ、裁判権行使通告、起訴手続、公判など、細かい項目ごとに解説が並んでいる。
法務省刑事局長から検事総長、検事長、検事正などにあてた関係通達も収録されている。

ng>『合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料』「はしがき」『合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料』「はしがき」

冒頭の「はしがき」には、こう書かれている。
「地位協定第17条は、合衆国軍隊の構成員、軍属又はそれらの家族が、日本国の領域内において、日本国の法令によって罰することができる罪を犯したときは、日本国は、その構成員等に対し、その罪について裁判権を有することを明らかにしているのであるが、この種事件に対する裁判権の行使については、同条の規定に基づき、一般の刑事事件についての取扱いと若干異なる取扱いが定められており、また、この種事件の特殊性等にかんがみ、その捜査処理上留意を要する点も少なくない」

米軍人・軍属・それらの家族の犯罪に対して、一般の刑事事件とは異なる対処をしなければならないと、その特殊性を指摘する言葉からは、米軍関係者の刑事事件が特別扱いされている実態が透けて見える。
日本語による解説と関係通達が391ページ、それに巻末の英文資料100ページを合わせて全491ページと分厚い『実務資料』の表紙には、「秘」と、秘文書扱いを意味する文字が記されている。
つづく(文中敬称略)
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