「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」

日本平和委員会が情報公開法に基づき法務省から開示させた「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」
国家が情報を隠蔽するとき

7 驚くほど低い米兵犯罪刑法犯の起訴率
「法務省検察統計」(2007年年報)によると、「自動車による過失致死傷」を含まない刑法犯の起訴人員数と不起訴人員数と起訴率(2001年~2007年)は、以下の通りである。これが、日本人被疑者が大多数を占める全国の刑法犯の起訴率の実態だ。

起訴 不起訴 起訴率
2001年 93286 70780 56.9%
2002年 100913 81376 55.4%
2003年 105375 92494 53.3%
2004年 110193 110346 50.0%
2005年 109441 124224 46.8%
2006年 110298 142852 43.6%
2007年 102993 133196 43.6%
732499 755268 49.2%

それでは、米兵犯罪の場合を見てみよう。「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」によると、「自動車による過失致死傷」を含まない、在日米軍関係者の刑法犯の起訴人員数と不起訴人員数と起訴率は、以下の通りだ。

起訴 不起訴 起訴率
2001年 22 123 15.2%
2002年 24 153 13.6%
2003年 31 174 15.1%
2004年 36 153 19.0%
2005年 33 126 20.8%
2006年 30 112 21.1%
2007年 23 93 19.8%
2008年 19 108 15.0%
218 1042 17.3%

これら二つの統計を比較すると、在日米軍関係者の刑法犯の起訴率が、日本人被疑者が大多数を占める全国の刑法犯のそれよりも、極端に低いことがよくわかる。
このように米兵犯罪だと、「自動車による過失致死傷」を含む場合も含まない場合も、起訴率は極めて低い。
そして、そうなる理由は、刑法犯の罪名別の起訴率を見ていくと明らかになる。

「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」(2001年~2008年)の、「自動車による過失致死傷」を除いた罪名別起訴人員数・不起訴人員数・起訴率(ここでは、刑法犯で該当人員がある罪名だけを列挙する)は次の通りだ。

罪名 起訴 不起訴 起訴率
公務執行妨害 0 10 0%
放火 4 1 80.0%
住居侵入 14 78 15.2%
文書偽造 0 2 0%
強制わいせつ 2 17 10.5%
強姦 4 16 20.0%
強姦致死傷 4 7 36.4%
殺人 3 1 75.0%
傷害 47 126 27.1%
傷害致死 1 1 50.0%
暴行 16 47 25.4%
危険運転致死傷 1 0 100.0%
過失致死傷 3 3 50.0%
その他の
業務上過失致死傷
2 2 50.0%
脅迫 0 2 0%
窃盗 37 484 7.1%
強盗 16 9 64.0%
強盗致死傷 17 4 80.9%
詐欺 0 39 0%
恐喝 0 3 0%
横領 0 36 0%
盗品等関係 0 4 0%
毀棄隠匿 9 117 7.1%
その他 38 33 53.5%
218 1042 17.3%

なお、自動車による過失致死傷は、起訴427 、不起訴2140、起訴率16.6%である。
つづく(文中敬称略)
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