早朝、トラックに乗せられて労働現場に連れて行かれる労働鍛練隊の収容者たち。(2008年10月黄海南道海州 シム・ウィチョン撮影)
早朝、トラックに乗せられて労働現場に連れて行かれる労働鍛練隊の収容者たち。(2008年10月黄海南道海州 シム・ウィチョン撮影)

 

解説1:中国での逮捕、北朝鮮への送還(下) 石丸次郎
北朝鮮に送還された後
中国から北朝鮮に強制送還されて行った難民たちは、まず、国境地域の保衛部で調査を受ける。
特別なことがなければ、保衛部での調査は普通一縲恣T間ほどで終わるという。この時点で拘束を解かれるのは、大部分が子供を連れた母親、また子供を家に置いている女性や年寄りだ。

保衛部の調査で政治性ありとみなされた者は、政治犯として処理されていくコースに進むことになる。
生活に困窮したわけではなく発言や行動が問題視されたために中国に逃げた者や、中国で韓国行きを企図して逮捕された者、また中国で韓国人と接触していたのが明らかな者などだ。

豆満江側で強制送還された者の場合は、鐘城(ジョンソン)にある保衛部の拘置施設に送られて調査が続けられるというが、詳しくはわからない。
政治犯としての処理が確定すると、いわゆる政治犯収容所である管理所や、政治犯専門の刑務所である清津市の輸城(スソン)教化所などに送られる。

一方、政治的な問題がない単純な脱北と判断された者は、保安署(警察)が管轄する刑事犯罪者として、裁判を経て刑事罰を受けるか、罪が軽微とみなされて裁判なしに労働鍛練隊に送られるかになる。

この処置は原則として出身地域で受けるため、出身地域に護送されるが、それまでの間は「集結所」と呼ばれる拘置施設に収容される。
「集結所」は各道に一ヶ所ずつあり、収容者の出身地の保安員(警察官)が移管のために引き取りにくるまで留置される。ここではレンガ造りなどの労働に就かされる。

脱北行為を繰り返すなど《悪質》と見なされた者は、裁判を経て教化刑(懲役刑)に処される。
現在、脱北者として教化刑を受けた者の多くは、平安南道の甑山(ジョンサン)教化所に送られている。
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