「コンテナスキャナ定期巡回整備」の事実を認めた日本の企業は、クウェートで実施した整備に関して、かなり細かい点まで答えてくれた。
本連載第1回の一覧表にある通り、定期巡回整備は2005年に3回、2006年に2回、それぞれ2週間から3週間くらいの期間をかけておこなわれ、毎回、2人の技術者が派遣されていた。
1人はその日本企業の技術者で、日本からクウェート入りし、もう1人はコンテナスキャナを製造した米国企業の外国人技術者で、アメリカや駐在先のヨルダンあるいはタイから来ていた。
情報公開の開示文書に含まれていた「監督・検査記録表」によると、作業は連日、午前9時~12時、午後1時~5時の実働7時間でおこなわれた。
実施場所は、当時クウェートにあったイラク派遣陸上自衛隊の補給拠点で、米軍基地内に置かれていた。その日本企業の担当者は、基地名は挙げなかったが、米軍基地だと言った。技術者たちはクウェート市内のホテルから車でそこに通っていた。
コンテナスキャナは、陸上自衛隊がイラク派遣に際し、その日本企業から2台購入したものだ。事実上の戦闘地域だったイラク・サマワでの安全を確保するため、テロ対策器材として配備したのである。
このコンテナスキャナは車両搭載型で、X線を使ってコンテナや車両の内部を透視し、検査・監視する電子機器である。武器や爆発物の探知に威力を発揮する。米軍もその米国の製造企業から購入して、イラクやアフガニスタンで使っている。
その日本企業は米国の製造企業と代理店契約を結んでいる。定期巡回整備の契約額は300数十万円から600数十万円で、経費を考えると、損はしないが儲かる仕事ではない。
しかし、「売った商品のメンテナンスなので、メーカー側の義務として定期巡回整備を引き受けた」という。コンテナスキャナそのものが高価なので、ビジネスとしては利益があるそうだ。
その日本企業によると、陸上自衛隊がコンテナスキャナを購入(調達)したときに、定期巡回整備の話があり、企業側はクウェートでの整備を条件に引き受けることにした。
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