そのとき自衛隊側から、「イラクのサマワで定期巡回整備をしてほしい」という旨の話が出たそうだ。しかし、安全が保障されないので、それは断ったという。
その企業の担当者は私に、初めは、「自衛隊側から打診があった」と言ったが、後で、「そういう話題が出た」と言葉を濁した。
いずれにしても、自衛隊側は当初、サマワでの定期巡回整備を望んでいたと考えられる。クウェートまで4ヵ月ないし6ヵ月に一度、定期整備のために車両ごとコンテナスキャナを運んでくるのは、手間もかかるし、道中のリスクもあるからだろう。

私がコンテナスキャナの性能や使い方など詳しく聞こうとしたら、「機密事項にふれるので話せない」と言われた。

コンテナスキャナは、陸上自衛隊がイラクから撤収するときに日本に運ばれ、現在、陸上自衛隊の或る駐屯地に置かれている。イラク派遣部隊の帰国後、そこでもコンテナスキャナの整備をしたそうだ。しかし、どこの駐屯地かは言えないという。その企業の担当者によると、コンテナスキャナは「次の海外派遣に備えて整備されている」とのことである。

このように、コンテナスキャナはテロ対策器材として機密性が高く、今後の自衛隊海外派遣にも必須の装備である。それは、やはり防衛省公表資料から抜け落ちていた「車両搭載対策器材」(IEDいわゆる路肩爆弾を無線電波で無力化する電子機器)に関しても同様である。

米国製で機密性の高いテロ対策の特殊装備。しかも米国企業が技術者を派遣していた。防衛省がそれらを、国会議員への公表資料からはずしていたことの背景には、こうした事情もあるように思えてならない。
(つづく)
*この問題について、緊急報告集会「拡大する民間人の戦地派遣」(主催:重工産業労働組合、造船重機連絡会)が、8月8日(土)午後1時30分~4時30分、東京都のJR水道橋駅・都営地下鉄三田線水道橋駅そばの全水道会館4Fホールで開かれる。会場費・資料代1000円。
そこで、筆者は詳しい報告をする。
問い合わせ先は、重工産業労働組合(Tel.042-451-0472)

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