企業から航空自衛隊に提出された、C-130H輸送機の「現地整備等技術員等届」。
[上の画像をクリックすると拡大します]4 軍事優先の時代への前触れか
一連の情報公開文書を通じて、自衛隊と企業の緊密な協力関係が浮かび上がってくる。
たとえば、2枚のA4サイズの文書。「現地整備等管理要員届」と「現地整備等技術員等届」と記されている。日付は平成17(2005)年2月22日で、或る企業から航空自衛隊第2補給処長あてに提出されたものだ。
同補給処は岐阜県各務原市にある航空自衛隊岐阜基地に置かれ、各種装備の調達・保管・整備などを担当している。企業名は黒塗りにされて消されている。
自衛隊側の定めた書式にそって、「現地整備等管理要員届」の届け出表には、 No.1から3まで管理要員の「氏名、年齢、地位・職務内容、連絡手段等、海外配置の可否」が各欄に記入されている。しかし、1から3までの要員番号と海外配置の可否(1名が可、2名が否)以外は、すべて黒塗りにされている。
「現地整備等技術員等届」のほうも、 No.1から3までの技術員等番号を除いて、「氏名、年齢、地位及び職務内容、技術員等の区分、資格・免許・特技等、技術員等としての経験(年数)」の記入すべてが黒塗りにされている。
いずれも、イラクに派遣された航空自衛隊C-130H輸送機の現地整備の役務を企業が請け負い、技術者をクウェートに派遣した事実を示すもので、契約書や仕様書や就業状況報告書など関連文書の一部だ。
このように自衛隊は、現地整備態勢を万全のものとするために、派遣可能な要員のリストを企業に提出させて、把握しているのである。
現地整備が実施されたのは、2005(平成17)年3月である。まず、航空自衛隊第2補給処長から企業あてに、「現地整備等指示書」(平成17年3月11日付け)が出されている。イラク派遣輸送航空隊からの現地整備の要請を受けてのものだろう。
「整備作業役務実施場所、アリ・アル・サレム空軍基地」、「派遣人員及び期間、管理要員1名(平成17年3月14日~18日)、整備員3名(平成17年3月16日)」と書かれている。「指示細部要求事項」という別紙が付いており、エンジン部品の損傷の点検、損傷や異常があった場合の部品交換などを、専門用語を用いて詳しく説明している。
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