そして、「現地整備等就業状況報告書」が作成されている。現地整備の後、企業から航空自衛隊第2補給処長に提出されたもので、日付は平成17年3月22日である。
それによると、現地整備の役務を実施したのは同年3月16日、午前9時から午後6時30分まで。場所はアリ・アル・サレム空軍基地である。管理要員と技術員合わせて4名が従事した。企業名と管理要員・技術員の氏名は黒塗りにされている。
アリ・アル・サレム空軍基地は、クウェートの基地である。そこを拠点に航空自衛隊はイラクへの空輸をおこなっていた。
これまで国内で、C-130H輸送機の機体整備は川崎重工が、エンジン整備はIHI(旧石川島播磨重工)が実施してきた。イラク派遣にともなう現地整備について両企業に問い合わせたところ、どちらの広報課からも、
「防衛省・自衛隊との契約に関しては守秘義務があり、当社はお答えする立場にないので、C-130H輸送機の現地整備の契約を結んだかどうか、否定も肯定もできない」という答えが返ってきた。
また、2007年7月には、航空自衛隊航空中央業務隊と或る企業が、「海外派遣部隊用通信機能の賃貸借契約」を結んでいる。
賃貸借すなわちレンタルの対象は、航空自衛隊市ヶ谷基地とクウェートのアリ・アル・サレム空軍基地とイラクのバグダッドにあるヴィクトリー基地と某国某所(黒塗り不開示)の間を結ぶ衛星送受信装置だ。
その設置教育のために企業の技術者がクウェートのアリ・アル・サレム空軍基地に派遣された。ヴィクトリー基地に関しては、連絡班としてそこにいる自衛隊員に、アリ・アル・サレム空軍基地から何らかの通信手段を用いて説明したようだ。
賃貸借契約書には、企業から航空自衛隊に、「通信機能の管理に従事する者について、関係者名簿を契約後速やかに作成し、提出する」よう定めた契約条項も記されている。常に派遣要員リストを把握しておくためである。
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