「なお、当省では、更に利用制限を縮減できる部分があるか、関係省庁と協議しつつ、縮
減可能な部分の特定を進めていることを申し添える」と、この申出の文書を締めくくっている。
「関係省庁」とは外務省のことで、それは後に国会で明らかになった(衆議院外務委員会2009年6月10日、共産党の赤嶺政賢議員の質問に対する法務省・外務省の答弁)。『実務資料』をめぐる問題に、日米地位協定を管轄する中心官庁として外務省も関与していることは確かである。

図2「資料の利用制限範囲縮減の申出について」図2 法務省刑事局長から国会図書館収集書誌部長宛ての「資料の利用制限範囲縮減の申出について」(平成20年10月20日)。
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その後、2008年10月20日に再び「資料の利用制限範囲縮減の申出について」の文書が出され、「この度、関係省庁と協議した結果、更に利用制限の縮減可能な部分につき特定に至りましたので、利用制限の範囲を別紙一覧表記載部分に縮減していただきたく、お願いいたします」と書かれている。〔図2〕
こうして、現在、国会図書館で部分的に閲覧できる範囲が決められたのである。法務省が外務省と協議し、利用制限すなわち非公開のままとした箇所を示すのが別紙一覧表だ。それは全面黒塗りにされたA4サイズの用紙で6枚に及ぶ。〔図1〕

全面黒塗りなので、これだけでは、いったい何が非公開のままなのかわからない。しかし、国会図書館で部分的に閲覧できる『実務資料』の複製と、閲覧禁止になる前に新原が国会図書館でコピーしていた『実務資料』の原本を照らし合わせると、法務省・外務省が何を秘密のまま隠しておきたいのかが浮かび上がってくる。
つづく(文中敬称略)
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